こんにちは、渋谷のカフェバー「SPRING NOTE」でマスターをしている大塚です。
「ジントニックはダサい」という言葉を耳にして、バーで注文するのをためらってしまった経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
ジントニックは、その飲みやすい味わいから多くの人に愛されていますが、一部では初心者向けといった偏見や、男性が頼むカクテルとしてはダサいといったイメージが根付いているようです。
そもそもジントニックとはどのようなカクテルで、その度数はどのくらいなのでしょうか。
また、自宅で美味しいジントニックを作るための作り方や、ジンは何割で割るのが最適なのか、市販の缶製品との違いも気になるところです。
この記事では、ジントニックが好きだという女性や男性の性格に関するイメージ、バーテンダーの腕が試されると言われる理由、そしてジンは体に悪いのかという疑問に至るまで、ジントニックにまつわるあらゆる情報を掘り下げ、「ダサい」というイメージが本当に正しいのかを、プロの視点から徹底的に解説していきます。
- ジントニックがダサいと言われる本当の理由
- ジントニックの基本的な情報と美味しい作り方
- 「ダサい」という偏見を覆すジントニックの魅力
- バーでスマートにジントニックを楽しむための知識
「ジントニックはダサい」と言われる5つの理由

- そもそもジントニックとはどんなカクテル?
- ジントニックが飲みやすいと言われる理由
- ジントニックの度数と美味しくなる割り方
- 市販の缶とバーの作り方の違い
- ジンは体に悪い?健康への影響について
そもそもジントニックとはどんなカクテル?

ジントニックとは、その名の通り、ジンをトニックウォーターで割って作る、非常にシンプルなカクテルです。
世界中で愛される定番カクテルの一つであり、多くのバーで提供されています。
主役となるジンは、大麦やライ麦、とうもろこしなどの穀物を原料とした蒸留酒で、ジュニパーベリー(セイヨウネズの球果)による独特の爽やかな香りが特徴です。
一方のトニックウォーターは、炭酸水にレモンやライムといった柑橘系の果皮エキスと糖分を加えた清涼飲料水を指します。
歴史的には、トニックウォーターには「キニーネ」という成分が含まれていました。
これはキナの木の樹皮から抽出される苦味成分で、かつてイギリスの植民地であったインドなどで、マラリアの予防薬として飲まれていました。
しかし、キニーネは非常に苦味が強いため、飲みやすくするためにジンや砂糖、ライムを加えたのがジントニックの始まりとされています。
このように、ジントニックは単なるお酒ではなく、深い歴史的背景を持つカクテルなのです。
そのシンプルな構成ゆえに、使用するジンの銘柄やトニックウォーターの種類、そして作り手の技術によって味わいが大きく変わる、非常に奥深い一杯と言えるでしょう。
ジントニックが飲みやすいと言われる理由

ジントニックが多くの人に「飲みやすい」と感じられる理由は、主に3つの要素の絶妙なバランスにあります。
第一に、トニックウォーター自体が持つ甘みです。
トニックウォーターには糖分が含まれており、これがジンの持つシャープなアルコール感や独特の植物由来の風味を優しく包み込み、口当たりをまろやかにしてくれます。
お酒の苦味や強いアルコール感が苦手な方でも、この甘みがあるおかげでジュースのように楽しむことができるのです。
第二に、炭酸の爽快感です。
シュワっとした炭酸の刺激が喉を通り抜けることで、後味がすっきりとします。
特に、脂っこい食事の後や、蒸し暑い夏の日に飲むジントニックの爽やかさは格別で、リフレッシュしたい場面にぴったりのカクテルです。
そして第三に、ライムやレモンといった柑橘類の香りです。
グラスに添えられたり、果汁が搾られたりすることで加わるフレッシュな柑橘の香りが、ジントニック全体の風味を引き締め、爽やかさを一層際立たせます。
この香りが、ジンの持つボタニカル(植物)の香りと相まって、複雑で心地よいアロマを生み出します。
これらの要素が組み合わさることで、アルコールの強さを感じさせない、甘く爽やかでバランスの取れた味わいが完成し、お酒初心者や女性からも絶大な支持を得ているのです。
ジントニックの度数と美味しくなる割り方

ジントニックのアルコール度数は、使うジンの度数と、ジンをトニックウォーターで作り方る比率によって大きく変動します。
一般的に、バーで提供されるジントニックの度数は10度から15度程度が目安となります。
多くのジンのアルコール度数は40度前後ですが、中には47度以上の「ロンドンドライジン」や、それ以上の度数を持つジンも存在します。
このジンを基準に、美味しいとされる黄金比で割ることで、最適な味わいと度数が決まります。
美味しいジントニックの黄金比と度数
一般的に推奨されるジントニックの比率は「ジン1:トニックウォーター3〜4」です。
この比率で作った場合のアルコール度数の目安は以下の通りです。
| ジンの度数 | ジン:トニックの比率 | 完成後のアルコール度数(目安) |
|---|---|---|
| 40度 | 1:3 | 約10.0度 |
| 40度 | 1:4 | 約8.0度 |
| 47度 | 1:3 | 約11.8度 |
| 47度 | 1:4 | 約9.4度 |
もちろん、これはあくまで目安です。
アルコールに強い方はジンの比率を少し上げてキレのある味わいにしたり、逆に弱い方はトニックウォーターを多めにして軽やかな飲み口にしたりと、自分好みのバランスを見つけるのもジントニックの楽しみ方の一つです。
自宅で作る際は、まず「1:4」から試してみて、徐々に調整していくことをお勧めします。
市販の缶とバーの作り方の違い

手軽に楽しめる市販の缶ジントニックと、バーでバーテンダーが作るジントニックには、それぞれに良さがありますが、味わいや体験には明確な違いがあります。
市販の缶ジントニック
最大のメリットは、その手軽さと安定した品質です。
冷蔵庫で冷やしておけば、いつでもどこでもグラスに注ぐだけでジントニックを楽しめます。
価格も手頃なものが多く、宅飲みやアウトドアシーンで気軽に飲みたい場合に最適です。
最近では、様々なジンメーカーからこだわりの缶ジントニックが発売されており、選択肢も豊富になっています。
ただ、多くの缶製品は大量生産を前提としているため、甘味料や香料が添加されている場合があります。
また、アルコール度数も5%〜9%程度と、バーで飲むものよりは低めに設定されていることが一般的です。
バーで作るジントニック
バーで提供されるジントニックは、まさに「作品」と呼べる一杯です。
バーテンダーは、以下のような様々な要素にこだわり、最高のジントニックを追求します。
- 氷
透明で硬く、溶けにくい氷を使用することで、カクテルが水っぽくなるのを防ぎます。 - グラス
よく冷やした薄手のグラス(うすはりグラスなど)は、口当たりを良くし、繊細な味わいを感じやすくします。 - ジンとトニック
数多くの種類の中から、その日の気分や好みに合わせて最適な組み合わせを提案してくれます。 - ライム
フレッシュなライムをその場でカットし、香り高く搾ることで、爽やかさが格段に増します。 - ステア(混ぜ方)
炭酸が抜けすぎないよう、優しく、しかし的確に混ぜる技術は、味わいを大きく左右します。
このように、バーの一杯にはプロの技術とこだわりが凝縮されており、自宅や缶では味わえない格別な体験ができます。
手軽さを求めるなら缶、最高の味わいと体験を求めるならバー、とシーンによって使い分けるのが良いでしょう。
ジンは体に悪い?健康への影響について

「ジンは体に悪い」という話を耳にすることがあるかもしれませんが、これは主にアルコール全般の過剰摂取と、ジントニックに含まれる糖分に関する懸念から来ています。
アルコールの影響
ジンはアルコール度数が高い蒸留酒であり、当然ながら飲み過ぎは肝臓への負担や依存症のリスクを高めます。
厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」では、「節度ある適度な飲酒」として、1日平均の純アルコールで約20g程度を推奨しています。
アルコール度数40度のジンを30ml使用したジントニックの場合、純アルコール量は約9.6g( 30ml × 0.40 × 0.8)となります。
この基準からすると、1日に2杯程度が「節度ある飲酒」の目安と考えられます。
糖分の影響
ジントニックの飲みやすさの要因であるトニックウォーターには、相当量の糖分が含まれています。
製品によって異なりますが、一般的なトニックウォーターは100mlあたり8g〜10g程度の糖質を含むものが多いとされています。
ジン30mlに対しトニックウォーターを120ml使うと、1杯で約9.6g〜12gの糖質を摂取することになります。
飲みやすいからといって何杯も飲むと、糖分の過剰摂取につながり、肥満や生活習慣病のリスクを高める可能性があるため注意が必要です。
結論として、ジン自体が特別に体に悪いわけではありません。
他のお酒と同様に、適量を守り、糖分の摂取量も意識しながら楽しむことが健康的な付き合い方と言えます。
「ジントニックはダサい」というイメージの真相

- なぜ?ジントニックにまつわる偏見を解説
- ジントニック好きの女性や男性のイメージ
- ジントニックを好む人の性格的特徴とは
- 「男性のカクテルはダサい」は本当か?
- 実はバーテンダーの腕が試される一杯
- 結論:「ジントニックはダサい」は大きな誤解
なぜ?ジントニックにまつわる偏見を解説

「ジントニックはダサい」という言葉の裏には、いくつかの複合的な理由から生まれた偏見が存在します。
これらの偏見は、ジントニックの持つ特性が誤解されて広まった結果と言えるでしょう。
- 甘くて飲みやすい=初心者向けというイメージ
前述の通り、ジントニックは甘みと爽やかさから非常に飲みやすいカクテルです。この「飲みやすさ」が、逆にお酒を飲み慣れていない人や初心者が選ぶカクテルというイメージにつながり、「通ではない」「子どもっぽい」といった見方をされる一因となっています。 - ロングカクテルで度数が比較的低いから
ジントニックは、時間をかけてゆっくり楽しむ「ロングカクテル」に分類されます。ウイスキーのロックやマティーニのような「ショートカクテル」に比べるとアルコール度数が低めであるため、度数の強いお酒を好む人から「物足りない」「弱い人の飲み物」と見なされることがあります。 - 「バーテンダーの腕がわかる」という知識の陳腐化
「一杯目はジントニックを頼むと、そのバーテンダーの腕がわかる」といううんちくは、お酒好きの間で非常に有名です。しかし、この知識があまりにも広まりすぎたため、このうんちくを試すために注文しているように見え、「知識をひけらかしているようでダサい」と感じる人が出てきました。 - 女性的なカクテルという誤った思想
飲みやすさやフルーティーなイメージから、「カシスオレンジ」などと同様に、ジントニックは女性が好んで飲むカクテルというステレオタイプが存在します。このため、「女性が頼むものを男性が飲むのは格好悪い」という古い価値観から、ダサいというイメージが生まれています。
これらの理由は、いずれもジントニックの一側面だけを捉えたものであり、その本質的な魅力を理解していないことから来る偏見と言えます。
ジントニック好きの女性や男性のイメージ

ジントニックを好んで飲む人のイメージは、見る人の価値観によって大きく変わりますが、一般的には女性と男性で異なる印象を持たれがちです。
ジントニック好きの女性のイメージ
ジントニックを好む女性に対しては、「お洒落」「洗練されている」といったポジティブなイメージを持つ人が多いようです。
甘すぎるカクテルは好まないけれど、すっきりとしていて飲みやすいジントニックを選ぶ姿に、大人の女性らしさを感じるのかもしれません。
また、定番のカクテルを選ぶことで、地に足のついた堅実な印象を与えることもあります。
ジントニック好きの男性のイメージ
一方、男性がジントニックを好む場合、そのイメージは二極化する傾向にあります。
一つは、「初心者」「無難な選択をする人」というネガティブなイメージです。
より複雑で強いカクテルがある中で、あえてシンプルなジントニックを選ぶことを「冒険心がない」と捉える見方です。
しかし、もう一方では、「本質をわかっている人」「スマートな選択ができる人」というポジティブなイメージも存在します。
ジントニックの奥深さを理解した上で、あえて定番を頼む姿に、自信やこだわりを感じる人も少なくありません。
その日の体調や気分に合わせて、敢えて軽めのジントニックを選ぶことができるのは、むしろお酒の楽しみ方を知っている大人の男性と言えるでしょう。
結局のところ、これらはすべて主観的なイメージに過ぎません。
飲む人の性別でカクテルの価値が決まるわけではなく、大切なのはその人自身が自信を持って楽しむことです。

ジントニックを好む人の性格的特徴とは

飲むカクテルでその人の性格を断定することはできませんが、ジントニックという選択には、いくつかの性格的傾向が反映されていると考えることができます。
安定と信頼を求める「堅実派」
ジントニックは、どこのバーに行ってもほぼ間違いなく置いている定番中の定番カクテルです。
奇をてらった選択をせず、まずは信頼できる一杯から入るという姿勢は、物事を着実に進めたいと考える堅実な性格の表れかもしれません。
失敗を避け、安定した選択を好む傾向があると言えます。
シンプルさを愛する「ミニマリスト」
余計なものが加わっていない、ジンとトニックウォーターというシンプルな構成を好む人は、ライフスタイルにおいてもシンプルさを重視するミニマリスト的な気質を持っている可能性があります。
物事の本質を大切にし、華美な装飾よりも機能美や素材そのものの良さを評価するタイプです。
見えない部分にこだわる「探求家」
一見シンプルに見えるジントニックですが、その裏にはジンの銘柄、氷の質、ステアの技術など、無数のこだわりが隠されています。
その奥深さを理解し、自分好みの一杯を探し求める人は、探求心が旺盛で、物事の表面だけでなく、その裏側にあるストーリーやこだわりを重視する性格かもしれません。
もちろん、これはあくまで一つの解釈です。
単に「味が好きだから」「その日の気分だから」という理由で選ぶ人が大多数でしょう。
しかし、カクテル一杯の選択から、その人の価値観や美学が垣間見えるのも、バーで過ごす時間の面白さの一つです。
「男性のカクテルはダサい」は本当か?

「男性がカクテルを飲むのはダサい」という考え方は、完全な時代錯誤であり、大きな誤解です。
むしろ、TPOや自分の好みに合わせてスマートにカクテルを選べる男性は、非常に洗練されて見えます。
この誤解は、おそらく「男は黙ってビールかウイスキー」といった、古いステレオタイプから来ているものと思われます。
しかし、カクテルの世界は非常に奥深く、それぞれに歴史や物語があります。
例えば、以下のようなクラシックカクテルは、昔から多くの紳士たちに愛されてきました。
- オールドファッションド
ウイスキーをベースにした、重厚で深みのある味わい。その名の通り古くから愛される、まさに「クラシック」な一杯。 - マティーニ
"カクテルの王様"と称される、ジンベースのシャープで洗練されたカクテル。映画などでも知的な登場人物が飲むシーンが多く見られます。 - ネグローニ
ジン、カンパリ、ベルモットで作られる、苦味と甘みが特徴的なイタリア生まれのカクテル。食前酒として人気で、お洒落な印象を与えます。
ジントニックもまた、こうした輝かしい歴史を持つクラシックカクテルの一つです。
マラリアの薬が起源というユニークな成り立ちを知っていれば、それは単なる甘い飲み物ではなく、知的なストーリーを持つ一杯に変わります。
「男性のカクテルはダサい」のではなく、「カクテルに関する知識がなく、場にそぐわない選択をしてしまうこと」がダサいのです。
その日の気分や一緒にいる相手、店の雰囲気に合わせて最適な一杯を選べることこそ、現代におけるスマートな男性の嗜みと言えるでしょう。

実はバーテンダーの腕が試される一杯

「ジントニックはバーテンダーの実力がわかる」という言葉は、決して単なるうんちくではありません。
プロのバーテンダーにとって、ジントニックは最も基本でありながら、最もごまかしが効かない、緊張感を伴うカクテルの一つです。
その理由は、ジントニックの構成が極めてシンプルであることに尽きます。
材料が「ジン」「トニックウォーター」「ライム(またはレモン)」「氷」しかないため、一つひとつの素材の質と、それらを扱う技術がダイレクトに味に反映されてしまうのです。
熟練のバーテンダーは、以下のような細部にまで神経を行き届かせています。
- 温度管理
グラスとジン、トニックウォーターを完璧な温度に冷やし、氷が溶け出すのを最小限に抑えます。 - 氷の選定
ドリンクの味を薄めないよう、硬くて溶けにくい純氷を選びます。 - 炭酸の維持
トニックウォーターを注ぐ際は、氷に直接当てず、グラスの縁を伝わせるように静かに注ぎ、炭酸が抜けるのを防ぎます。 - ステアの技術
混ぜすぎれば炭酸が抜け、混ぜなければジンとトニックが分離してしまいます。最適な一体感を生み出すための、絶妙な力加減と回数が求められます。 - ライムの扱い
香りを最大限に引き出すためのカットの仕方、果汁の搾り加減など、細かな技術が味を左右します。
あるバーのオーナーは、「ジントニックを注文されると背筋が伸びる」と語ります。
それは、お客様に自分の技術のすべてを見透かされているような気持ちになるからです。
この一杯を完璧に作ることは、バーテンダーとしての誇りそのものなのです。
結論:「ジントニックはダサい」は大きな誤解

この記事を通じて解説してきたように、「ジントニックはダサい」というイメージは、多くの誤解と偏見に基づいています。
最後に、この記事の要点をまとめます。
- ジントニックはジンとトニックウォーターで作るシンプルなカクテル
- 飲みやすく初心者にも人気だが、その裏には深い歴史と魅力がある
- 「ダサい」というイメージは、飲みやすさや定番であることが原因の偏見
- 甘さや度数の低さが初心者向けと見られる一因となっている
- しかし、そのシンプルさゆえにバーテンダーの腕が最も試される
- うんちくを知ったかぶりで語る行為は避けるべき
- 自宅でも素材や作り方にこだわることで本格的な味を楽しめる
- ジンの銘柄やトニックウォーターの種類によって味わいは無限に変化する
- 起源は18世紀にマラリアの薬として飲まれた歴史を持つ
- 飲む人の性別やイメージでカクテルの価値を判断するのは早計
- 適量を守れば健康リスクは低いが糖分やアルコールの過剰摂取には注意が必要
- バーでの立ち振る舞いやTPOに合わせた選択がその人の印象を決める
- 知識を持ってスマートにジントニックを注文する姿はむしろお洒落
- オールドファッションドなど他のクラシックカクテルを知るのも楽しみを広げる
- 最終的に、周りの評価を気にせず自分が美味しいと感じることが最も大切










