こんにちは、渋谷のカフェバー「SPRING NOTE」でマスターをしている大塚です。
お店でも「ブルームーン」カクテルの意味について尋ねられることがよくあります。
その幻想的な色や、見た目とは裏腹の意外な味、ベースとなる酒の種類や気になる度数に至るまで、この一杯には多くの魅力と疑問が詰まっています。
また、このカクテルがまずいと感じる理由や、断りの隠語として使われる背景について質問されることも少なくありません。
この記事では、そうした疑問の全てに答えるべく、ブルームーンが持つ本当の意味を、その基本情報から少し怖いカクテル言葉の裏側まで、分かりやすく紐解いていきます。
- ブルームーンの基本的な特徴
- カクテル言葉に込められた複数の意味
- 美味しいブルームーンの作り方
- 噂される言葉の真偽や背景
ブルームーンカクテルの意味と基本情報

- ブルームーンの幻想的な色と由来
- ブルームーンの味はさっぱり系?
- ブルームーンのアルコール度数は高い?
- ベースとなる酒の種類と選び方
- ブルームーンはまずいと言われる理由
ブルームーンの幻想的な色と由来

ブルームーンの最も大きな特徴は、見る人を惹きつける幻想的な青紫色です。
この独特の色合いは、材料の一つであるバイオレットリキュールに由来します。
このリキュールはスミレの花を主原料としており、その香りと色を液体に閉じ込めたものです。
グラスの中で淡い光を放つかのような色彩は、カクテルの名前である「ブルームーン(青い月)」、つまり稀にしか見ることができない珍しい満月を見事に表現しています。
このように、夜空に浮かぶ月を思わせるミステリアスな見た目が、ブルームーンの第一印象を決定づける重要な要素となっています。
ブルームーンの味はさっぱり系?

その妖艶な見た目とは裏腹に、ブルームーンの味わいは驚くほどさっぱりとしていて、爽快感があるのが特徴です。
この爽やかさの理由は、ベースとなるドライジンのキレのある風味と、レモンジュースの清涼な酸味にあります。
ジンの持つボタニカル(植物由来)の香りがカクテル全体の骨格を作り、そこにバイオレットリキュールのほのかな甘みと華やかな香りが絶妙なバランスで加わります。
甘すぎず、キリッとした飲み口であるため、食後酒として口の中をリフレッシュさせたい時にもぴったりの一杯と言えるでしょう。
ブルームーンのアルコール度数は高い?

口当たりが良く飲みやすいブルームーンですが、アルコール度数は高めなので注意が必要です。
一般的なレシピで作成した場合、アルコール度数は25度から30度程度になります。
これは、ベースとなるジンの度数が40度以上と非常に高く、バイオレットリキュールも20度前後あるためです。
ビール(約5度)やワイン(約12度)と比較すると格段に高く、ショートカクテルの中でもしっかりとした飲みごたえがある部類に入ります。
さわやかな味わいにつられて杯を重ねてしまうと、思った以上に酔いが回りやすいので、ご自身のペースでゆっくりと楽しむことをお勧めします。
ベースとなる酒の種類と選び方

美味しいブルームーンを作るためには、材料となるお酒の選択が非常に重要です。
主に「ドライジン」と「バイオレットリキュール」の2種類が味わいの核となります。
ドライジン
カクテルのベースとなるジンは、クリアでシャープな飲み口が特徴のドライジンが最適です。
銘柄によってボタニカルの風味が異なるため、使うジンによって仕上がりの印象も変わります。
クセの少ない定番のジンを選ぶと、全体のバランスが取りやすくなります。
バイオレットリキュール
ブルームーンの色と香りを決定づけるリキュールです。
主に2つのタイプが存在します。
リキュールの種類 | 特徴 |
---|---|
パルフェタムール | フランス語で「完全な愛」を意味します。スミレを中心に、バラや柑橘系の果皮、バニラなどが使われ、複雑で深みのある香りが特徴です。 |
クレーム・ド・バイオレット | スミレの香りをより純粋に、強く感じられるタイプです。よりフローラルで華やかな仕上がりを求める場合に向いています。 |
どちらを使用してもブルームーンは作れますが、よりクラシックで奥深い味わいを求めるならパルフェタムールがおすすめです。
例えば、オランダのボルス社が製造する「パルフェタムール」は、世界中のバーで愛用されている定番の一本です。

ブルームーンはまずいと言われる理由

ブルームーンが「まずい」あるいは「薬のような味がする」と感じる人がいるのは、主にバイオレットリキュールの持つ独特な「花の香り」が原因です。
普段、飲み物で花の香りに親しんでいない方にとっては、この香りが化粧品や芳香剤を連想させてしまい、違和感を覚えることがあります。
特に、リキュールの質が低かったり、材料のバランスが悪いブルームーンは、この香りが悪目立ちしてしまいがちです。
逆に言えば、質の高いリキュールを使い、フレッシュなレモンジュースでキリッと引き締めた、バランスの良いブルームーンであれば、この上なく上品で華やかな味わいを楽しめます。
もし一度飲んで苦手だと感じた方も、バーテンダーやレシピを変えて再挑戦してみる価値はあるでしょう。
ブルームーンカクテルの意味とカクテル言葉

- カクテル言葉に秘められた意味とは
- 紫カクテルの意味と神秘的な魅力
- お断りの隠語として使われることも
- カクテル言葉に女殺しの由来はある?
- 「死んでもあなたと」はブルームーンの言葉?
- 知って楽しむブルームーンカクテルの意味
カクテル言葉に秘められた意味とは

ブルームーンが持つカクテル言葉は、非常にユニークで、正反対とも言える二つの意味が存在します。
一つは「完全なる愛」。
これは、材料であるリキュール「パルフェタムール」がフランス語で「完全な愛」を意味することに由来しています。
愛を誓うロマンティックな場面にふさわしい言葉です。
そしてもう一つは「叶わぬ恋」や「できない相談」。
これは、カクテルの名前「ブルームーン」が「めったに起こらないこと」の象徴であるためです。
届かない想いや、無理な願いを暗示する、切ない意味合いを持っています。
この二面性が、ブルームーンをより一層ミステリアスで魅力的なカクテルにしています。
紫カクテルの意味と神秘的な魅力

カクテルの持つ紫という色自体にも、古くから特別な意味が込められてきました。
紫は、高貴さ、神秘性、そして芸術性などを象徴する色とされています。
かつて、紫色の染料は非常に希少で、王族や貴族など、限られた身分の人々しか身につけることができませんでした。
その歴史的背景から、紫色は人々にとって憧れや特別な感情を抱かせる色となったのです。
ブルームーンが放つ美しい紫色は、単なる色彩以上の力を持ち、飲む人に非日常的でエレガントな時間を提供してくれます。
その神秘的な魅力が、多くの人々を惹きつけてやまない理由の一つです。
お断りの隠語として使われることも

前述の通り、ブルームーンは「叶わぬ恋」や「できない相談」というカクテル言葉を持っています。
このことから、バーのカウンターなどで、相手からの好意や誘いをそれとなく断るための「隠語」として使われることがある、という話は有名です。
例えば、相手から熱心にアプローチされている状況で、あえてブルームーンを注文することで、「あなたとの関係が進展することは、ブルームーン(珍しい月)を見るくらい難しいことです」という意思を、言葉にせず伝えるというわけです。
もちろん、これが常に「お断り」を意味するわけではありません。
しかし、こうした背景を知っていると、お酒の席でのコミュニケーションがより奥深いものになるかもしれません。
カクテル言葉に女殺しの由来はある?

ブルームーンが「女殺し(レディキラーカクテル)」と呼ばれることがある、という噂を聞いたことがあるかもしれませんが、これは正式なカクテル言葉や由来ではありません。
一般的に「レディキラーカクテル」とは、アルコール度数が高いにもかかわらず、甘くて口当たりが良いため、女性がつい飲み過ぎてしまうカクテルの俗称です。
ブルームーンも「飲みやすいのに度数が高い」という特徴を持つため、そのように呼ばれることがあるようです。
しかし、カクテルの公式な情報として「女殺し」という言葉が関連付けられているわけではなく、あくまでもその特徴から生まれた俗説の一つと考えるのが妥当でしょう。

「死んでもあなたと」はブルームーンの言葉?

「死んでもあなたと」という情熱的な言葉も、ブルームーンのカクテル言葉として語られることがあるようですが、これもまた公式なものではありません。
このようなドラマティックな言葉は、小説や映画、あるいは個人の解釈から広まった可能性が考えられます。
ブルームーンの持つ「完全なる愛」というカクテル言葉が、より情熱的に表現される過程で生まれた派生的なイメージかもしれません。
ブルームーンの公式なカクテル言葉は、あくまで「完全なる愛」と「叶わぬ恋」です。
これらの言葉の背景を理解することが、カクテルをより深く楽しむための鍵となります。
知って楽しむブルームーンカクテルの意味

- ブルームーンはジンをベースにしたショートカクテル
- 幻想的な紫色はバイオレットリキュールに由来する
- 味わいは見た目に反してさっぱりとした辛口
- アルコール度数は25度前後と高めなので注意が必要
- カクテル言葉は「完全なる愛」
- もう一つのカクテル言葉は「叶わぬ恋」
- 「完全なる愛」は材料のパルフェタムールからきている
- 「叶わぬ恋」は稀な月ブルームーンが由来
- まずいと感じる原因は花の香りが強いリキュール
- 質の良い材料と正しいレシピで作ると美味しくなる
- 紫色は高貴さや神秘性を象徴する
- お断りの隠語として使われるという逸話もある
- 「女殺し」や「死んでもあなたと」は正式な言葉ではない
- 自宅で作ることも可能
- そのミステリアスな背景が最大の魅力
