こんにちは、渋谷のカフェバー「SPRING NOTE」でマスターをしている大塚です。
お店で「とりあえずハイボール」というご注文をいただく機会は非常に多いです。
しかし、そのハイボールとウイスキーの違いについて改めて尋ねられると、意外と戸惑う方もいらっしゃるようです。
ウイスキーを原料とするハイボールですが、「ウイスキーのソーダ割り」とは何が違うのか。
そもそも「ハイボールとは何か」という基本的な定義から、チューハイやサワーとの違いまで、気になる点は多いことでしょう。
また、「ハイボールは日本だけの飲み物?」といった疑問や、その人気の秘密、そして家庭でもできる美味しいハイボールの作り方や種類についても、知ることで楽しみ方は一層深まります。
この記事では、そういった様々な疑問に一つひとつ丁寧にお答えします。
応用編として、ウイスキーなしでハイボールを作る方法や、「ウイスキーは悪酔いせず太らない」という噂の真相まで、分かりやすく解説していきます。
- ウィスキーとハイボールの根本的な違い
- ハイボールと他のお酒(チューハイ・サワー)との比較
- 自宅でできる美味しいハイボールの作り方とアレンジ
- ハイボールに関するよくある疑問とその答え
基本から知るウィスキーとハイボールの違い

- ハイボールとはウイスキーを原料とするお酒
- ウイスキーを割るとハイボールになる?
- ウイスキーのソーダ割りとハイボールの違い
- ハイボールとチューハイ・サワーとの違い
- ハイボールは日本だけの飲み物?
ハイボールとはウイスキーを原料とするお酒

ハイボールとは、カクテルのスタイルの一つを指す言葉です。
日本では一般的に、ウイスキーを炭酸水(ソーダ水)で割ったものを「ハイボール」と呼んでいます。
ウイスキーが持つ豊かな香りと味わいを、炭酸水の爽快感が引き立てることで、すっきりと飲みやすい口当たりになるのが特徴です。
この飲みやすさから、ウイスキー本来の味や香りが強いと感じる方や、アルコールにあまり慣れていない方でも気軽に楽しむことができます。
言ってしまえば、ハイボールはウイスキーをより多くの人に楽しんでもらうための入り口のような存在とも言えるでしょう。
食事との相性も非常に良く、特に揚げ物や味の濃い料理と合わせると、口の中をさっぱりとリフレッシュさせてくれるため、食中酒としても高い人気を誇ります。
ウイスキーを割るとハイボールになる?

「ウイスキーを割るとハイボールになる?」という疑問に対しては、「はい、その通りです」と答えることができます。
ただし、より正確に言うと、ウイスキーを炭酸飲料で割ったものが一般的に「ハイボール」と呼ばれます。
もともと「ハイボール」という言葉は、スピリッツ(蒸留酒)を炭酸水やジンジャーエール、トニックウォーターといったアルコールを含まない飲料で割った、背の高いグラス(トールグラス)で提供されるカクテル全般を指す言葉でした。
そのため、ウイスキー以外の蒸留酒、例えばジンやウォッカ、焼酎などをベースにしても「ハイボール」と呼ぶことは間違いではありません。
しかし、現在の日本ではサントリーのマーケティング戦略の成功などもあり、「ハイボール=ウイスキーの炭酸割り」という認識が広く定着しています。
ウイスキーのソーダ割りとハイボールの違い

「ウイスキーのソーダ割り」と「ハイボール」は、現在ではほぼ同じ意味の言葉として使われています。
どちらもウイスキーを炭酸水で割った飲み物を指しており、居酒屋でどちらを注文しても、基本的には同じものが出てくると考えてよいでしょう。
ただ、厳密な歴史を遡ると、わずかな違いが存在します。
以前は、水に重曹やクエン酸を加えて炭酸ガスを発生させたものを「ソーダ水」と呼んでいました。
これには、わずかな塩味や酸味がありました。
一方、現代主流の「炭酸水」は、水に二酸化炭素を圧入して作られており、クリアな味わいが特徴です。
このため、ごく稀に昔ながらの味わいにこだわるバーなどでは、両者を区別している可能性もゼロではありません。
しかし、一般的な認識としては「ウイスキーのソーダ割り」と「ハイボール」に明確な違いはないと理解しておいて差し支えないでしょう。
ハイボールとチューハイ・サワーとの違い

ハイボールがウイスキーをベースにしているのに対し、チューハイやサワーは異なるお酒をベースに作られています。
これらの違いを理解すると、お店での注文がよりスムーズになります。
それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
項目 | ハイボール | チューハイ | サワー |
---|---|---|---|
ベースのお酒 | 主にウイスキー | 主に焼酎 | 蒸留酒全般(焼酎、ウォッカなど) |
割り材 | 主に炭酸水 | 炭酸水、果汁、お茶など | 炭酸水、柑橘系の果汁など |
味わいの傾向 | ウイスキー由来の香りと爽快感 | フルーティーで甘めのものが多い | 「酸味」が特徴でさっぱりしたものが多い |
名前の由来 | 諸説あり(後述) | 焼酎の「酎」+ハイボールの「ハイ」 | 英語の「sour(酸っぱい)」 |
このように、チューハイは「焼酎ハイボール」の略称であり、もともとはハイボールの一種でした。
サワーも同様にスピリッツをベースとしたカクテルですが、特に柑橘系の酸味を特徴とするものとして区別されることがあります。
もっとも、現在ではお店によって呼称の基準が異なり、チューハイとサワーがほぼ同じものとして扱われることも少なくありません。

ハイボールは日本だけの飲み物?

ハイボールが日本だけで飲まれているというのは誤解です。
確かに、日本では2008年頃からの「角ハイボール」ブームにより、ハイボールの人気が爆発的に高まり、居酒屋文化に深く根付きました。
このため、日本発祥の飲み物だと思っている方もいるかもしれません。
しかし、ハイボールの原型である「ウイスキー&ソーダ」は、19世紀のイギリスやアメリカで既に楽しまれていた歴史あるカクテルスタイルです。
ウイスキーの本場であるスコットランドでは「スコッチ&ソーダ」として古くから親しまれています。
世界5大ウイスキー(スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズ)が世界中で愛飲されていることからも分かるように、ウイスキーを炭酸で割るというシンプルな飲み方は、国境を越えて多くの人に楽しまれている国際的なスタイルなのです。
飲み方でわかるウィスキーとハイボールの違い

- ハイボールは何がうまいと言われるのか
- 知っておきたいハイボールの種類
- 美味しいハイボールの作り方
- ハイボールをウイスキーなしで作るには?
- ウイスキーは悪酔いせず太らない?
ハイボールは何がうまいと言われるのか

ハイボールが多くの人に愛される理由は、そのシンプルさの中にいくつもの魅力が隠されているからです。
人気の秘密は、主に3つのポイントに集約されます。
第一に、何と言っても「爽快なのどごし」です。
炭酸の心地よい刺激と、すっきりとした味わいは、仕事終わりの一杯や暑い夏の日にぴったりです。
ビールにも似た爽快感がありますが、ハイボールはよりクリアな後味が特徴です。
第二に、「食事との相性の良さ」が挙げられます。
ウイスキーの豊かな香りが料理の味を引き立て、炭酸が口の中の脂っこさを洗い流してくれます。
特に唐揚げや焼き鳥、ポテトフライといった居酒屋の定番メニューとの相性は抜群で、互いの美味しさを高め合います。
そして第三に、「ウイスキー本来の香りを楽しめる」点です。
炭酸で割ることで、ストレートやロックでは感じにくいウイスキーの華やかな香りや、樽由来の甘い香りが引き立ちます。
アルコール度数が抑えられるため、時間をかけてゆっくりと香りや味わいの変化を楽しめるのも魅力の一つです。
知っておきたいハイボールの種類

「ハイボール」と一括りに言っても、その種類は実に多彩です。
ベースとなるウイスキーを変えたり、割り材を工夫したりすることで、味わいは無限に広がります。
ベースのウイスキーによる違い
- スコッチウイスキー
スモーキーな香りが特徴の「アイラモルト」や、華やかでバランスの取れた「スペイサイドモルト」など、産地によって個性が大きく異なります。ベースを変えるだけで、全く違う表情のハイボールになります。 - バーボンウイスキー
トウモロコシを主原料とし、内側を焦がした樽で熟成させるため、バニラやキャラメルのような甘い香りが特徴です。コーラで割る「コークハイ」との相性も抜群です。 - ジャパニーズウイスキー
繊細でバランスの取れた味わいが特徴で、食事と合わせやすい上品なハイボールに仕上がります。 - アイリッシュウイスキー
軽やかでスムースな口当たりが特徴。クセが少なく、すっきりとしたハイボールが好きな方におすすめです。
割り材によるアレンジ
炭酸水の代わりに、ジンジャーエールやコーラ、トニックウォーターなどで割るのも定番のアレンジです。
ジンジャーエールで割ればスパイシーな「ジンジャーハイボール」に、コーラで割れば甘く飲みやすい「コークハイ」になります。
他にも、カットしたレモンやライム、ミントを加えるだけで、爽やかさが格段にアップします。
美味しいハイボールの作り方

お店で飲むような美味しいハイボールは、いくつかのポイントを押さえるだけで自宅でも簡単に作ることができます。
最も重要なのは、「グラス・ウイスキー・炭酸水をしっかり冷やすこと」と「炭酸を逃さないこと」です。
基本的な作り方(黄金比は1:3〜4)
- グラスを冷やす
グラスに氷をたっぷりと入れ、マドラーなどでかき混ぜてグラス全体をキンキンに冷やします。溶けた水は一度捨ててください。このひと手間で、氷が溶けにくくなり、味が薄まるのを防げます。 - ウイスキーを注ぐ
冷えたグラスに適量のウイスキーを注ぎます。一般的な目安は、ウイスキー1に対して炭酸水3〜4の割合です。例えば、ウイスキー30mlなら炭酸水は90ml〜120mlとなります。 - 炭酸水を注ぐ
炭酸が抜けないよう、氷に直接当てず、グラスの縁に沿ってゆっくりと静かに炭酸水を注ぎ入れます。 - 一度だけ混ぜる
炭酸の気泡がウイスキーを自然に持ち上げてくれるため、混ぜすぎは禁物です。マドラーをグラスの底まで静かに入れ、氷をゆっくりと持ち上げるように一度だけ混ぜれば完成です。
この手順を守るだけで、炭酸の爽快感が際立つ格別な一杯が出来上がります。
ハイボールをウイスキーなしで作るには?

前述の通り、「ハイボール」は広義には蒸留酒を炭酸飲料で割ったカクテル全般を指します。
そのため、ウイスキーがなくても他の蒸留酒を使えば、美味しいハイボールスタイルのカクテルを作ることが可能です。
例えば、以下のようなアレンジが考えられます。
- 焼酎ハイボール(チューハイ)
クセのない甲類焼酎を使えば、レモンやライムの風味が引き立つすっきりとした味わいになります。芋焼酎や麦焼酎を使えば、原料由来の豊かな風味を楽しめます。 - ジンハイボール(ジンリッキー)
ジンのボタニカルな香りが炭酸によって引き立ち、非常に爽やかなカクテルになります。ライムを絞るのが定番のスタイルです。 - ウォッカハイボール(ウォッカソーダ)
ウォッカは無味無臭に近いため、非常にクリアでドライな味わいになります。割り材の味をストレートに楽しみたい場合におすすめです。 - ラムハイボール
ラム特有の甘い香りが楽しめる、少し個性的なハイボールです。コーラとの相性も抜群です。
このように、ベースのお酒を変えるだけで全く異なる魅力が生まれます。
自宅にウイスキーがない場合でも、他のお酒で気軽に試してみてはいかがでしょうか。
ウイスキーは悪酔いせず太らない?

「ウイスキーは悪酔いしにくい」「ハイボールは太らない」といった話を耳にすることがありますが、これらはいくつかの注意点と共に理解する必要があります。
「太らない」という点について
ウイスキーなどの蒸留酒は、製造過程で蒸留されるため、糖質が含まれていません。
この点が、糖質を含むビールや日本酒などの醸造酒との大きな違いです。
そのため、「糖質制限」を意識している方にとっては選択しやすいお酒と言えます。
ただし、カロリーがゼロという訳ではありません。
文部科学省によると、ウイスキー100gあたりのエネルギー(カロリー)は234kcalとされています。
アルコール自体にカロリーがあるため、飲み過ぎれば当然、体重増加の原因になり得ます。
ハイボールは炭酸水で割るため一杯あたりのカロリーは低くなりますが、量には注意が必要です。
「悪酔いしない」という点について
ウイスキーのような蒸留酒は、醸造酒に比べてフーゼル油などの不純物が少ないため、二日酔いの原因物質が少なく「悪酔いしにくい」と言われることがあります。
しかし、これはあくまで適量を守った場合の話です。
ハイボールは口当たりが良いため、ついペースが速くなりがちですが、ベースとなるウイスキーのアルコール度数は40度前後と非常に高いです。
飲み過ぎれば、どんなお酒でも悪酔いや二日酔いを引き起こします。
ご自身の体調や適量を把握し、責任ある飲酒を心がけることが最も重要です。

ウィスキーとハイボールの違いを知り楽しもう

この記事の要点を以下にまとめます。
- ハイボールはウイスキーを炭酸水で割ったカクテルの一種
- ウイスキーはハイボールの原料となるアルコール度数の高い蒸留酒
- ウイスキーを炭酸飲料で割ることでハイボールが作られる
- ウイスキーのソーダ割りとハイボールは現在ほぼ同義で使われる
- チューハイやサワーはベースとなるお酒がウイスキーではない
- ハイボールは日本だけでなく世界中で飲まれている
- ハイボールの魅力は爽快感と食事との相性の良さにある
- ベースのウイスキーや割り材でハイボールの種類は多彩に変化する
- 美味しいハイボールのコツは冷却と炭酸を逃さないこと
- 黄金比はウイスキー1に対して炭酸水3から4が目安
- ウイスキー以外の蒸留酒でもハイボールスタイルのカクテルは作れる
- ウイスキーは糖質ゼロだがカロリーはある
- ハイボールも飲み過ぎれば当然太る原因になる
- 悪酔いのしにくさは個人差や飲む量に大きく左右される
- 自分のペースで適量を楽しむことが最も大切
